公益社団法人 自衛隊家族会会長 増田 好平



増田 好平 会長
 

皆さま
  
あけましておめでとうございます。

 
 一昨年、令和4年6月から、 前任の伊藤康成名誉会長の後任として、自衛隊家族会会長を務めさせていただいております増田好平です。

 この場をお借りして、令和6年の年頭にあたり、謹んで新年のごあいさつをさせていただきたいと存じます。
 今年の干支は「甲辰(きのえたつ)」です。言うまでもなく「甲」は、十干の最初に位置し、生命や物事の始まりを意味するとともに、「甲冑」の甲から導かれており、草木の種子が厚い皮を被って、まだ発芽していない状態を表しているようです。十二支の「辰」は「振るう」を意味しており、陽気が動き、それにより自然万物が振動し草木も伸長し形整い活力が旺盛になった状態を表しているようです。これらを踏まえますと「甲辰」の年は、これらの成長や成功が芽吹くために種子の内側でどんどん大きくなっていき、場合によっては、芽吹くと大きく旺盛に実る年と言われているようです。昨年令和5年の干支「癸卯(みずのとう)」が「寒気が緩み、萌芽を促す年」を示しているとのことでしたので、これに続く次の段階に入っていくと解釈できるかと思います。コロナ禍との関係でいえば、コロナ禍の後の新しい時代に、それにふさわしい活動を本格的に、そして積極的に進めていくべき年ということになるのではないでしょうか。
 昨年は、一昨年コロナ禍の影響で中止せざるを得なかった防衛講演会を和歌山県と栃木県で、それぞれ9月と11月に開催することができました。私も会長として、両防衛講演会に出席させていただきましたが、髙田克樹運営委員の示唆に富む講演に対し、聴衆の方々から思っていた以上の熱心なご意見やご質問をいただき、地元の皆さまの関心の高さを感じることができて、大変良かったと思っております。
 また、一昨年は行われなかった、6月の定期総会後の意見交換会も、井野俊郎元防衛副大臣を始め多数のご来賓に出席をいただき開催することができました。意見交換会に限って言えば、4年ぶりの開催となりました。コロナ禍の影響の大きさを感じるとともに、コロナ禍後の「新しい日常」の時代が本格化してきたと言えると思います。
 一方で、一昨年12月に閣議決定された「国家防衛戦略」や「防衛力整備計画」で触れられた、関係団体などと連携した家族支援施策の拡充について、政府として、関連の施策が一つ一つ確実に具体化していこうとしています。
 例えば、現在、自衛隊家族会などと各幕僚長との間で締結されている家族支援協定について、令和6年度に防衛省として、省統一の協定を締結するという方向で、われわれ自衛隊家族会を始めとする関係団体との間で調整が進んでいます。
 また、令和6年度の概算要求には「自衛隊地方協力本部に家族支援のための連絡調整窓口の設置」という事項で、全国50の地方協力本部に非常勤職員を配置するという事業が計上されております。
 この2つの項目については、昨年6月の定期総会の場で、防衛省人事教育局厚生課長が総会出席者に対して、説明されました。このようなことは、極めて珍しいことではないかと思います。
 さらに、昨年11月には、防衛省が「諸外国における家族支援に関する調査」をスタートさせました。この調査の項目には、諸外国における軍人家族の調査も含まれています。
 自衛隊家族会としても、このような「国家防衛戦略」や「防衛力整備計画」の内容に沿った防衛省の活動に積極的に、また、一体的に協力していきたいと考えております。
 さて、2年後の令和8年に自衛隊家族会は創設50周年を迎えます。われわれとしては、この50周年を大きな節目として、さらなる発展を遂げることを旨として、50周年の記念事業を検討していかなければなりません。
 私は、その際の基本的な視点となるものは、「隊員と家族をつなぐ」という考え方ではないかと思います。現下のわが国をとりまく国際安全保障環境が、極めて不透明、不安定な中では、これまで以上に「家族」という要素が重要なものになってきており、広い意味で「家族」は、防衛力の一翼を担うものと言っても過言ではない状況になってきているように思います。このような観点に立って、自衛隊家族会が「家族」を防衛力につなげていく重要な役割を果たしていくべきではないかと考えます。
 このようなことを自衛隊家族会の活動の中心に置きながら、今年1年の業務を進めていきたいと思います。
 まさに「甲辰」の年にふさわしい状況なのではないでしょうか。
 最後に、(公社)自衛隊家族会の会員およびおやばと愛読者をはじめとする皆さまにとって、本年が昨年以上に平穏で実りある年になることを祈念して、年頭の辞を締めくくりたいと思います。


 学 歴

  昭和50年3月

    東京大学法学部卒業


 経 歴

  昭和50年

   防衛庁入庁(長官官房総務課)

  平成10年 6月

   防衛局防衛政策課長

  平成13年 1月

   長官官房審議官

  平成14年 8月

   (併)内閣審議官(内閣官房副長官補付)

  平成16年 4月

   内閣官房内閣審議官

  平成17年 8月

   防衛庁防衛参事官(統合運用・IT担当)
 
  平成18年 8月

   人事教育局長

  平成19年 8月

   防衛事務次官

  平成21年 9月~平成30年10月

   防衛省顧問

  平成22年 7月~
 
   明治安田生命保険相互会社顧問

  平成23年 2月~
 
   NPO法人 宇宙利用を推進する会 理事長

  平成25年 6月~令和 4年 6月

   公益社団法人 隊友会 常務理事

  平成29年11月 ~

   一般社団法人 市ヶ谷論壇 理事長

  令和 3年 瑞宝重光章 受賞